極圏にすむための工夫

極圏に住む動物の体の表面積は体の体積に比べて小さく、これは体のつくりがずんぐりしていて、たいていは、温帯地方にすむ類縁種よりも大型だからです。

不必要な温度の放射をさけるために、四肢と耳介はできるだけ小さく、丸形をしています。

足裏、ひれ足、鼻穴のような皮膚の露出した部分は、体温をのがさないように精巧なシステムで冷たいままでいられます。

たいていの極地域に住む鳥は魚を捕食します。

いくつかの種は水面か、または水中にすばやく頭をいれて獲物をとります。

ペンギンや、姿がペンギンにとてもよく似たウミガラスは、高度に潜水に適応しています。

ペンギンは進化する中で、飛ぶことをやめて、翼をとくに性能のよい足ひれにつくりかえました。

彼らの故郷の南極では、飛べる必要はないのです。

なぜならば、ここには陸生の食肉類はまったくいないからです。

極圏のかなたで

荒れ地の動物と同じように、極地方の生き物も極端な環境条件に高度に適応しなければなりません。

体温が外部の温度に応じてたえず変わる陸生の変温脊椎動物は、このような条件のもとで生活することはできません。

ヨーロッパクサリヘビは、極圏ギリギリのところまで分布をのばしているごく少ない種のひとつです。

だが彼らは一年の内わずかの日数しか活動できません。

植物がまだ生えている地帯では、とくにトビムシ類やユスリカの昆虫がみられます。

これらの昆虫はわずか数週間で生長するので、気温のあたたかい期間が短くても生き残るにはじゅうぶんなのです。

温血動物、すなわち鳥類、哺乳類はたとえ外界の温度がはるかに低くても体温を一定にたもつことができます。

エネルギーをできるだけ消費しないように、極地方の動物は、空気をたくさんふくむことのできる、ちみつな羽毛や毛皮、そしてしばしば、断熱効果の高い厚い脂肪層をもっています。

どんなところでも動物はいる

まったく植物が生えないような荒れ地にも、植物を食べる数多くの昆虫がくらしています。

彼らは乾燥のために何ヵ月も、あるいはさらに何年ものあいだまったく植物の生えないところで活動することができるのです。

こうした昆虫の食物は、たいていは、ごく小さな、ほこりのような形の植物の残がいです。

これらは風にのって、肥沃な地帯から長い距離をこえてはこばれ、砂丘の風の蔭に堆積されたものなのです。

主として甲虫類が、このような、ほとんど目に見えないような植物粒を食べて生きています。

地球上でもっとも乾燥した地帯のひとつである、南西アフリカのナミブ砂漠だけでも――その内いくつかの場所は10年に一度しか雨が降りません――そのような特殊な生きかたをしている昆虫が200種以上も発見されています。

大西洋からの西風が、もうもうとした霧を砂漠の上にもたらすと、こうした甲虫類は、砂丘の稜線の上に立って、時には長い列をつくり、頭を風に向け、後肢を長くのばして、体の後端を高く保ちます。

甲虫の背中の上で霧は沈降します。

それは小さな水滴となり、甲虫の体の前へ流れて、直接口にはいるのです。

限界地に住むために

ウェッデルアザラシは肺呼吸動物でありながらこの性能をなしとげるために、彼らの血液は人間の血液にくらべ、約5倍もの酸素を受けとることができるのです。

もぐっているあいだは、酸素なしでは急速に死んでしまう脳のような器官だけが、血液の供給を受けるのです。

極地帯の動物で冬眠をする種はおどろくほどわずかです。

レミングのような齧歯類は、厚い雪の層におおわれた地表にトンネルを掘り、ここで生きていくのにじゅうぶんなだけの植物をみつけます。

彼らのおもな天敵であるホッキョクギツネも一年中活動しています。

ホッキョクギツネは眠るときには雪の中に巣穴を掘ります。

彼らは氷点下約50℃まで耐えることができるのです。

可能性の限界地で

極端な気候地帯にすむ動物の種は多様で、これらの地域で生存するための適応の戦略は変化に富んでいます。

南極海の内海にすむ4種のアザラシ類は、それぞれに異なった狩り戦略をもっています。

体の細いヒョウアザラシはとても動きがすばやく、水中でペンギン狩りができます。

流氷にすんでいて、これまであまり観察されていなかったロスアザラシは独特の大きな、明らかに明度の強い目をもっていて、氷塊の下でも魚をとることができます。

カニクイアザラシは、小さな甲殻類をたべます。

最後に、ウェッデルアザラシは、水底にすむ魚とイカを食べて生きています。

ウェッデルアザラシはときには深さ500メートル以上のところから獲物を捕らえてきます。

ほかのアザラシ類が約15~20分間潜水していられるのにたいして、ウェッデルアザラシは約1時間も水中にとどまっていることができます。

過酷な環境で生き延びるために

昆虫の卵も必要とあらば、何年間も胚胎力のある状態のままとどまっています。

幼虫は一定の量の水が地面をうるおし、生きていくのに必要な植物の生長が保証されたときにはじめて艀化します。

多くの動物は新陳代謝をいちじるしく低下させ、硬直状態で乾期を切り抜けます。

だがまた、1年中活動状態をつづける動物も、乾期の間は人目につかない生活をします。

たいていは、日中、岩の割れ目や石の中に姿をかくして、暑さをのがれます。

夜になってはじめて外に出て食物をさがすのです。

朝にはまた姿をかくします。

砂にのこされた足跡だけが彼らがいることを教えてくれます。

生命の足跡

生命を探してもせいぜい、いくつかの微生物しかみつけることができない、砂漠や氷原のような荒れ地はたしかにあります。

だがそのような地域はまれです。

未経験の、あるいは忍耐力の足りない訪問者は、たとえ、比較的さまざまな動植物がみられる地域でも、砂と石以外にはほとんど何もみつけることができません。

植物はたいてい目立ちません。

一部の植物は自分が生えている場所のまわりの石と同じような外見をもっています。

別の種は、実りをもたらす雨が降ったあと初めて姿をあらわし、短期間だけ豊かに花を咲かせ、そのわずか後には、もう姿を消します。

それらの種子は地面の中で何ヵ月も何年も眠り、つぎの雨がきて、発芽をすることができるまで待つのです。

同じような周期を多くの昆虫ももっています。

キリンはどうして首が長いの?

キリンがすむアフリカ大陸のサバンナには、たくさんの動物たちがくらしている。

生存競争のはげしいサバンナを生きぬくのに、キリンの長い首は、どのように役立っているのだろう?

ひとつには、木の高いところにある葉や枝を食べられるということ。

キリンほど背の高い動物は、ほかにいないので、エサをめぐって争うこともなく、たっぷり食べることができる。

また、口の位置が高いと、遠くまで見わたせて、いちはやく敵を見つけだすことができる。

キリンの群れが逃げるのを見て、そこら中の動物たちがいっせいに逃げだす、なんてこともめずらしくない。

ところで、キリンの首には7個の骨がある。

首の骨の数は、人間もネズミも、ほ乳類はみんないっしょ。

キリンの場合、首の骨1個の長さが、特大サイズなのだ。

ヤモリは、なぜ壁から落ちないの?

日本にもいるヤモリはトカゲのなかま。

人間ならおっこちてしまうかべをかけあがったり、天井にはりついたまま移動することもできる。

そのひみつはヤモリの足の裏にある。

ヤモリの足の裏側は、ふつうのトカゲより広い。

指の裏側には横に走る細いうねがたくさんあって、そこには目には見えないくらいの細かな毛が何万本もはえている。

このしくみが足の裏とかべとのあいだにはたらくまさつ力を大きくし、すべりにくくするので、そこにふんばっていられるわけだ。

ヤモリがかべからおっこちないのは、こんなスゴイ足をもっているから。

その威力は表面がツルツルのガラスでも、ザラザラのコンクリートでも変わることがないというからおどろきだ!

ヤモリは、かべや天井を忍者のように移動し、エサになるカや羽虫に近づくと、目にも止まらぬ早わざでパクッ!とくわえて食べてしまう。

ヘビはどうやって前に進むの?

ヘビが前へ進む方法は、4種類ある。

いちばん多いのは、地面のでこぼこや小石などにからだをおしつけながら、くねくねと進む方法だ。

ふたつめは、シャクトリムシと同じように、からだをのびちぢみさせる方法。

3つめは、からだをのばしたまま波うたせて進む方法で、からだの太いニシキヘビなどにみられる。

最後に、砂漠にすむヘビによくみられる、からだをちぢめたまま、飛びはねるようにして、ななめに進む方法がある。

ヘビのからだは、全身がしなやかな筋肉でできている。

そのため、自由自在にからだをくねらせることができるのだ。

また、ヘビの腹をおおう「腹板」とよばれるウロコが地面にひっかかり、すべり止めになって前へ進むのを助ける。

川や道路が曲がりくねったようすをあらわす「蛇行」という言葉は、くねくねと進むヘビの姿から、うまれた言葉だ。

1 2 3 4